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甘いお茶
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この時期になると気になる表現がある。
「原爆の子の像」のモデルになった佐々木貞子氏の表記。
貞子氏のエピソードが一人で歩きして、彼女を「サダコ」と記されている。
まぁ、しかたがないのかも知れない。
でも、まるで作り話の主人公のように軽くサダコと記されているのを読むと違和感を感じる。
原爆の子の像の原案になり、そのためにむやみにその話題性で名をしらしめてしまったのは、本人の意図にないだろう。
反戦反核の宣伝塔にされてしまい、親族もまたあらぬ中傷に泣いた事もあると聞く。
原爆の子の像の案になっただけで、あの折り鶴を掲げた子の像そのものが貞子氏ではない。
広島には、彼女と同じエピソードの人達が何人もいた。
あくまで彼女はその中の一人だった。
なのに、この最近、あの像の近くを通過する時、あれがサダコ像だ、という声を何度も聞く。
違う。
貞子氏のエピソードを元に、平和祈念に造られた像だ。
そして、軽々しくサダコと呼び捨てにする声に、物語りとして歩いている証拠を感じる。
彼女がもしも今も生きているなら、60代前半。
まだ年金ももらわないで働いているかも知れない。
10代の子には、おばあちゃんくらいの年齢で、私の年代なら母だろう。
私には超間接的だが、貞子氏は他人に感じない。
母は貞子氏と学年は違うが同じ時に同じ学び舎に在籍していた、言わば同窓生。
母の世代は人数が多く、学校の数が少なかったのもあり、一学年が千人前後の単位だったそうで、アルバムを見せてもらって米粒の集まりのような集合写真に驚いたものだ。
この事から、彼女の話は、数ある被爆者の一人一人の物語の一つであり、恐ろしい程に身近な話にあたる。
彼女に襲ってきた病気は被爆が原因と考えられる、白血病。
現在は染色体検査をすれば、被爆が原因どうかなど分かるとの噂もある。
でももしそれで分かっても。
進行性で難治療型で生存率が低いのも変わらない。
悲惨なまでの闘病をしても、死亡率の高さが哀しみを誘うのだけど。
約50年前には当たり前のようにあった被爆性白血病。
物語ではなく、本当の話。
そして、今も続いている延長線に日常がある。

ちなみに、二世白血病と診断され、余命半年と言われたのに一年経っても死ぬ気配がなく、再検査で自然治癒or誤診だったのではないかとの見解で、死んでしまうから優しくしてやったのにと姉にボコボコにやられたのは今でも記憶に鮮明だ(笑)
私は運良く何とも無くここまで生きているが…二世であるのが推測で因果関係にあり、死亡している知り合いは複数いる。
切っても切れない、原爆の事実と貞子氏のエピソード。
彼女と同じ身の上は、明日にだってありうる。
生きている以上、物語にはならない。
子供の頃両親が被爆者だと、女の子は14歳まで生きていられない、なんて噂が実しやかに囁かれていた。
それはこのように湾曲された物語となった彼女の話から来ている。
いつでもどこでも寝ていても、流血してティッシュを箱ごと持ち歩いていた時期と重なる。
血まみれの枕で目覚めた朝や、授業中のノートにポタリと落ちる血。
何もしていないのに増える内出血のあざ。
あの恐怖を知りもしない連中が、原爆の子の像をみてサダコサダコと言う。
ふざけんじゃねぇ。
私の内心の言葉はこの一言に尽きる。
少なくとも、私の中では、私が死ぬまで原爆はいつも背後にある現実。
二世である以上、親の代から遺伝子操作が行われたも同然。
祖父母たちの寿命から自分の寿命を測ろうとしてもそれは無理だ。
甲状腺を患ったのも、身内に疾患者がまったくいないと話からすれば、ただのストレス超過で壊れただけじゃない可能性だってある。
(ちなみに広島市内では甲状腺専門病院が沢山あるのだが、そこに行ってもまともな診察も治療も受けられない。
なぜなら原爆と因果関係が指摘されて症状に表れやすい部位だから、病院は努力をしなくても患者が勝手に来るからだ。
だから県外の有名病院に流れる患者が多いのも特徴。
私は親がそれを許さなかったから、限りある情報から比較的まともに治療方針を立ててくれる今の病院を探し出したようなもの)
正直な所、染色体検査でもなんでも受けられて、二世である事が関与している可能性があるとか、そのような事が発見されれば諦めもつくものを。
まぁ、ついたからといって現実に変化は無いのだけど。

私にとって原爆の日は、自分の人生を考える日になる。
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  • 無題
二の姉 2006/08/05(Sat)23:40:58 編集
これは、私ら二世は一生ついてまわることだね。
でも、驚いたことに広島県外に出ると、8月6日って歴史の教科書にちょこっと載ってるだけの他人ごとなんだよね。
中には原爆は作り話じゃないのかって人がいるくらいだから…
これが現実なのかなぁ…なんとも言えないこの気持ち、この先、二世はずっと抱えて生きて行くのかな…
  • 無題
URL 2006/08/06(Sun)00:14:39 編集
そうね~。まず分からないし信じないし。
挙句、放射能撒き散らしてるんだから来るなとかね。
ハァ。
  • 無題
マメオ 2006/08/06(Sun)22:08:04 編集
>他人ごと
原爆のことに限らず、みんなそんな感じじゃないですか?
自分には関係ない、っていう。踏み込まず表面を触っただけで知った気になって満足してるような、、、
私自身、そう言う部分が少なからずありますし。
私は被爆三世ですが。
父がどういう気持ちだったかは知らないし、今更聞けない(気がする)。
祖父は被爆が原因で亡くなったのかは解らないし(高齢だったので)、どっちでも良い。
私にとってはすでに原爆は遠いものです。
他の人にはもっともっと、遠いんでしょうね。

今日勤務中にデモがあったんですが。
改憲反対!戦争反対!
太鼓のリズムに乗せて、ドンドコドン。
靖国参拝ぶっ潰せ!小泉なんかぶっ潰せ!
、、、ノリで言ってんですかね?馬鹿みたいでしたよ。
  • 無題
URL 2006/08/07(Mon)06:29:55 編集
聞いてみたからといって、それで分かった気にもなれないよね。
それも事実なのよね~。
原爆の悲惨さは伝え方を間違えればただ単に恐怖心を植え付けるだけなのよね。
だから、ふぅーん、で済ませたくもなると思うし。
表面的でも、継続して触れる事が続けば変わるんだろけど、それじゃあ生活できないしね。
デモ行進もしたい気持ちもわかるけど、やっぱり何か違和感を感じるし。
あれは言論の自由を逆手にとった違う何かに見えてくるね。
○○反対は聞いてて許すけど(笑)、潰せはもう違うよな~、なんて思ったりする。
言葉は難しいな。
どうしても言葉に表すと、何か尾ひれがついてしまうね。
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